一般社団法人 日本卵子学会

理事長挨拶

久慈直昭 一般社団法人日本卵子学会
理事長 久慈直昭

 卵子学会は、マウス、ラット、ウサギなどの実験動物、及びウシ、ブタなど畜産動物の卵子を扱う研究者の集まりとして1960年に発足した哺乳動物卵子談話会として誕生しました。人工授精・精子研究全盛の時代に、新進気鋭の卵子研究者が集まって新しい研究会を立ち上げたのです。奇しくも同じ頃、ようやく研究が始まったヒト体外受精に興味を持つ医師たちが第2回談話会から参加するようになって今日の学会の基礎が築かれます。ヒト体外受精の成功から遡ること15年以上前のできごとです。

 ヒト体外受精は最初の成功から15年ほどは手作りで培養液を作成し、精密なモニターも無い状態で卵子や精子を取り扱う必要がありました。体外受精・体外培養の専門技術者集団であった当学会は、必然的に黎明期のヒト体外受精の現場に専門知識を持つ技師を供給することになります。その後急速に普及していく生殖補助技術の現場で受精卵を直接取り扱う技師、すなわち胚培養士の品質管理が強く望まれるようになると、当学会は医学系諸団体と協議して2002年に生殖補助医療胚培養士制度を発足させました。以後、当学会はこの認定制度を通して我が国の生殖補助技術の品質管理に継続して貢献することになります。

 現在、ゲノム編集技術の発展により受精卵、ひいては個体の遺伝子改変までが可能になる時代に我々は足を踏み入れています。ゲノム編集は哺乳動物の卵子研究に大きな発展の可能性をもたらすでしょう。しかしその一方で将来、必要最小限の遺伝子改変をヒト卵子・受精卵に行う時代がやって来るかもしれません。卵子研究にとって転換点となるこの時代、当学会が果たすべき使命は更に大きなものとなっています。

 幸い河野友宏前理事長のご尽力で学会事務局の整備が完了し、今後の発展の礎となる体制が築かれました。私に与えられた責務は、歴代の理事長・理事の先生方が築いてくださった卵子学会という活動体を維持・発展させるとともに、得られた成果を会員の皆さんの研究・臨床の活動に還元し、結果的に定款にある「学術の発展と人類の福祉と健康に寄与する」と言う使命を追及していくことと考えております。

 これからも皆様のご意見をとりいれ、学会の益々の発展に努力する所存ですので、これまでと変わらぬご協力、ご援助を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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